ABCハウジング オープンガーデンに行こう!

木漏れ日に癒される庭
〈吉岡邸〉

最後に伺ったのは、誰もが納得のガーデンマスター吉岡キヌ子さんのお庭。吉岡さんがこのお庭をつくろうと思われたのは、まさにオープンガーデンのためだったそうです。

吉岡さんのナチュラルガーデン癒しの庭

誰もがフラっと立ち寄ってくつろげる庭にしたいと吉岡さん

「うちは、庭木の卸しをしてますから、15年前にオープンガーデンイベントが始まって、『これは私も頑張らないと!』と思いました。赤いお花やフリルいっぱいのチューリップの鉢植えを段々に飾るにぎやかなお庭が人気の一方で、私は来る人がホッとできるようなグラス中心の癒しの庭を目指したいと思って取り組みました。それと、日本の普通のご家庭の庭はそんなに広くないので、そこにいかにワクワクさせる空間をつくるかも大切なポイント。まず、どんなに狭くても門扉から玄関へ向けてのアプローチを少しくねらせるのがコツです。見えない部分ができて、見る人に『どんな庭なんだろう』と期待感を持たせることができるからです。そのアプローチの周りにススキやフェスツカなどの馴染みのいいグラス類を置いて、その奥にチラっと赤いお花を見せる。それだけで、奥行きのある、入ってみたい庭になると思いませんか?私の庭にも曲がりくねった小道がいくつかあります。さらに、作業小屋を真ん中に置いていますが、それも正面から見て真っすぐには置かないで少し斜めに配置しているのは、来る人に入ってみたいと思ってもらうためです。そして、もう1つのコツは木漏れ日です。私はオープンガーデン=人に来てもらうための庭を考えていますから、来た人にホッとしてもらいたいんです。カラッと陽のあたる、どこからでも見えてしまう庭は癒されません。アオダモやソヨゴなどで木陰をつくって木漏れ日を見せ、曲がりくねったところにベンチでも置いておけば、内緒話でもしたくなりませんか?ナチュラルガーデン癒しの庭ですね」。

玄関へのアプローチが曲がりくねっているので、正面から玄関扉は見えない

立ち寄ったお客様がホッと一息つけるテーブルも

今年のカラーはシルバーだそう。土肌が見えないよう気取らない草花たちが敷き詰められている

この庭には他にも吉岡さんのアイデアが散りばめられています。例えば水道用の土管を鉢に見立てて緑を植えてみたり、瓦のくぼみにちょっと植栽してアクセント的に配置していたり、発見がたくさんあります。木漏れ日の下、時間が経つのを忘れて何をするでもなく微睡んでいたいお庭でした。

水道管や帽子など、小物使いのアイデアが楽しい

5つのお庭を巡って感じたことは、庭は好きな草木を植えるための畑ではないということ。庭づくりは時間づくり。庭は、自然を感じ、季節も含めたそこに流れる時間を楽しむもので、人はそこで、少し気持ちが開放され、素直に、優しくなれるようです。

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