ABCハウジング オープンガーデンに行こう!

町の景観を創造する庭
〈熊澤邸〉

次に伺ったのは、優れたガーデニングの知識と技能を持ち、町の緑化に貢献している方に宝塚市が与える『ガーデンマスター』の称号を持つ熊澤さんのお庭。家と庭の緑が一体となって、閑静な住宅街の中にひっそりと出現した小さな森のようです。

家がすっぽり緑で包まれ、小さな森のような熊澤邸

自然との共生を啓蒙し、まちづくりにも積極的に参加されてきた熊澤さん

「僕は草花が好きで庭を始めたというよりは、雲雀ヶ丘の緑の景観を守るという観点で庭づくりを始めた面が大きいです。もともとデザイナーでしたからモノづくりは好きで、家も含めて緑の景観を守る空間として自分でデザインして自分でつくりました。僕らの時代は欲しいものは自分でつくるのが当たり前でしたから、そういうことは苦になりませんので。

ガレージにも緑が敷き詰められている。黄色いバラが見事なアーチやポスト、柵はすべて熊澤さんがデザインし、つくったもの

和のイメージが強い椿も、熊澤さんのデザインでうまく溶け込んでいる

使わなくなった革の靴や鞄を鉢に

あちらこちらにバードフィーダーが

僕が大切にしていることは、人間も自然の一員なんだということ。確かにこの庭は僕がデザインしているのですが、植物というのは環境に合わないと育ちませんから思い通りになるわけじゃない。その土地に合ったものだけが残っていきますから、この庭に合ったものが自然に生えているんです。空いたところに植え込んだりはしますけれど、飛んで来た野草でもキレイなものは残しますしね。自然をコントロールしようだなんて思っちゃダメなんです。だからって放ったらかしという意味じゃありませんよ。もちろん、植物だって栄養がなければ育ちませんから、土はしっかり作ってやります。よく「植えても育たない」という相談を受けるのですが、建てたばかりの家の庭は真土(まさつち)で、栄養がないんですよ。まずは土を作らなければならない。最低でも3年はかかります。当たり前のことなんですけどね、最近は人が自然から離れ過ぎていて、知らない人が多い。自分が自然の一員だということを忘れがちなんです。酸素はどこから来るのか。植物はなぜ必要なのか。そういうところからちゃんと学ぶべきだと思います」。

取材に伺った日は春にもかかわらず気温が25度以上ありましたが、熊澤さんのお庭にはとても爽やな風が吹いていて、この快適さも土や植物が与えてくれているのだとあらためて考えさせられました。

中をのぞいてみたくなるもう一つのアプローチ

庭の中なのに、森を歩いているような気分になる小道

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