暮らしのデザイン Vol.3 家事が楽しくなる方法

Ⅶ 思いがけない効果

家事を楽しむ中で、どんどん気持ちの良くなっていったかおるさんの家。その背中を追うように子ども達にも良い影響が出はじめたと言います。

「小学生の娘が2人いるのですが、先日、次女が学校で、みんながしないような所まで掃除したという理由でクラスのみんなから拍手をもらったのだそうです。以前は全く片付けられなくて『片づけなさい』『いらないモノは捨てなさい』と言うと決まって『全部いる!』と反抗していたのに、不思議ですね。私がやるのを見ているからなのか、最近は率先して片付けるようになってきました。私も本や講座で聞いた話を参考に『いらないモノは捨てなさい』ではなく、『大事なモノだけ残した方が嬉しいよね』などと言い方を変えるようにしたこともあって『これはもう使わないからいらない』と自発的に言ったり、『これは本当に大好きだから大切にしたい』と言ったりするようになりました。また、子ども達が自分で自分の持ち物を管理できるよう、必要なものを1箇所に集め、収納場所をしっかり決めてやったのです。すると、朝の学校の準備や帰ってきてからの片付けも自分たちでするようになりました。管理しやすい環境さえ整えてやれば、子どもでもちゃんと片づけられるし、自分で管理することで自分のモノだという意識が強くなり、モノを大切にする心も育まれると思うのです。お陰で、私の掃除も楽になりました」。

娘さんたちには、それぞれの洋服ダンスが。2人とも自分で管理しているのだそう
リビングに設えられた子ども達のスペース。左の2つのチェストには子どもたちの洋服などが収納されていて、毎朝ここで着替えて、学校へ行く準備をするのだそう
2階の子ども部屋も、それぞれ自分で片付けるのだそう。好みやアイデアが生きた、かわいい部屋にまとまっている
子ども達が配膳の手伝いをしやすいよう、キッチンの入り口付近にカトラリーやランチョンマットを収納

一般的に家事が楽しくないのは、感謝されたり評価されたりすることが少ないからだと言われています。しかし、かおるさんはそもそも、そこには目的を置いていません。かおるさんにあるのは、どんな家で暮らしたいか、どんな暮らしがしたいかというイメージ。なりたい姿を想像し、それに向かってアイデアを絞り、実践し、少しずつ近づいていく。その小さな一歩一歩に達成感を感じられるから、楽しいと思えているようです。

メディアが素敵な家、素敵な暮らし、便利なモノを色々と紹介するので、あれもこれもと手を出してしまうのはやむを得ないことかもしれません。しかし、色々試した後に、自分が目指したい暮らしがイメージできたなら、浮気心を抑えて、日々、それに向けて考え、実践し、積み上げていってみてはどうでしょう。少しずつ目標へと近づく達成感という喜びが、家事を楽しくしてくれるはずです。  家事の楽しみ方は人それぞれです。でもこれは、どんな方向に進むにしても、一つの大きなヒントになるのではないでしょうか。

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