【歴住】歴史にまつわる住まいの話

思わず誰かに話したくなる歴史的建造物や
著名人の住まいにまつわるエピソードを集めました。

住まいづくりの基本は「夏」にあり。

吉田兼好「徒然草」

「つれづれなるままに、日ぐらし硯に向かいて…」。古典の時間でおなじみの吉田兼好の作品「徒然草(つれづれぐさ)」の冒頭部分です。

さて、この「徒然草」の中には、住まいづくりについて書かれた箇所があります。それは「家のつくりやうは、夏をむねとすべし。冬はいかなる所にも住まる…」という部分です。

今風にいえば、「冬の寒さは建物の工夫や厚着をするなどしてなんとかなるけれど、夏の暑さはどうにもならない。だから、住まいづくりの基本は、夏の暑さ対策を大切にしなければいけない」というような意味になります。夏は気温も湿度も高くなり、過ごしにくくなる日本の風土を見事に表現した名文といえます。

そういえば、古いお寺や歴史的な建物を訪れると、外は暑くても、中に入るとヒンヤリ、というのもよくある経験ですね。やはり昔の建物には、吉田兼好の教えのように暑さ対策がしっかりとされているのでしょう。今から700年近くも前に書かれた作品ですが、現代の住まいづくりでも大切にしたいテーマといえますね。

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