
2022年度から新たに設けられたこどもみらい住宅支援事業は、主に子育て中の世帯や若い夫婦世帯を対象とした住宅支援制度です。当記事では、こどもみらい住宅支援事業の全体的な概要や補助対象、申請時期についてわかりやすく解説していきます。
こどもみらい住宅支援事業とは?
こどもみらい住宅支援事業の概要

国土交通省Webサイト内「こどもみらい住宅支援事業」によると、こどもみらい住宅支援事業の目的趣旨は以下のように紹介されています。
こどもみらい住宅支援事業は、子育て支援及び2050年カーボンニュートラルの実現の観点から、子育て世帯や若者夫婦世帯による高い省エネ性能を有する新築住宅の取得や住宅の省エネ改修等に対して補助することにより、子育て世帯や若者夫婦世帯の住宅取得に伴う負担軽減を図るとともに、省エネ性能を有する住宅ストックの形成を図る事業です。
引用元 : 国土交通省Webサイト内「こどもみらい住宅支援事業」
子育て世帯や若い夫婦世帯が省エネ性能の高い住宅を取得する場合や、それに準じた性能をもつ家に改修する場合に補助金を出すという内容です。
またこどもみらい住宅支援事業は2050年のカーボンニュートラルの実現も見据えた事業であることから、脱炭素化の推進と子育て世帯の住宅取得に際して負担軽減をはかるものです。
予算額・交付申請者
こどもみらい住宅支援事業の予算額は、令和3年度補正予算として542億円、令和4年度予備費等として600億円です。この制度の適用を申請する場合、交付申請は顧客が行うのではなく「こどもみらい住宅事業者」が行います。
こどもみらい住宅事業者(交付申請者)とは

こどもみらい住宅支援事業の適用を受けるためには、交付申請が必要です。交付申請は顧客が行うのではなく、こどもみらい住宅事業者として事務局に登録している業者へ依頼します。交付申請者は、利用する制度によって以下のように決められています。
補助事業別・交付申請者
補助事業 | 契約 | こどもみらい住宅事業者 (交付申請者) |
---|---|---|
注文住宅の新築 | 工事請負契約 | 建築事業者 (工事請負業者) |
新築分譲住宅の購入 | 不動産売買契約 | 販売事業者 (販売代理を含む) |
リフォーム | 工事請負契約 | 施工業者 (工事請負業者) |
こどもみらい住宅事業者の探し方
国土交通省「こどもみらい住宅支援事業」サイト内にて、こどもみらい住宅事業者の検索ページが設置されています。この事業に登録した事業者のうち、公表を希望する事業者の検索が可能です。
購入を検討している事業者が登録しているのかは、建築会社や不動産販売事業者などに直接尋ねることをおすすめします。
こどもみらい住宅支援事業の補助対象と補助額
ここからは、こどもみらい住宅支援事業の補助対象と、それぞれの補助額について解説します。
国交省サイトでは「注文住宅の新築」「新築分譲住宅の購入」「リフォーム」の3つに分けられていますが、注文住宅の新築と新築購入は事業概要・補助対象・補助額が同じです。そのため当記事では「注文住宅の新築・新築分譲住宅の購入」と「リフォーム」の2つに分けて解説します。
新築(注文住宅の新築・新築分譲住宅)の購入

こどもみらい住宅支援事業のうち、注文住宅の新築や新築分譲住宅の購入で補助金を申請する場合、子育て世帯または若者夫婦世帯のみが対象です。これらの世帯は、以下のように細かく条件が定められています。
新築・補助対象の要件
補助対象 | 要件 |
---|---|
子育て世帯 | 申請時点において、2003年4月2日以降に出生した子を有する世帯 |
若者夫婦世帯 | 申請時点において夫婦であり、夫婦のうちいずれかが1981年4月2日以降に生まれた世帯 |
こどもみらい住宅支援事業の対象となる新築住宅の要件
こどもみらい住宅支援事業のうち、新築住宅の補助を適用するには以下の6つの要件を満たす必要があります。
対象となる新築住宅
- 1. 所有者(建築主)自らが居住する
- 2. 土砂災害防止法に基づく、土砂災害特別警戒区域外に立地する
- 3. 未完成または完成から1年以内であり、人の居住の用に供したことのないもの
- 4. 住戸の床面積が50㎡以上である
- 5. 証明書等により「ZEH住宅」「高い省エネ性能等を有する住宅」「一定の省エネ性能を有する住宅」のいずれかに該当することが証明できる
- 6. 交付申請時、一定以上の出来高の工事完了が確認できる
新築住宅の補助額
新築の住宅要件等を満たした場合、住宅の省エネ性能などに応じて以下の金額が補助されます。
新築住宅・補助額
対象住宅 | 補助額 |
---|---|
ZEH住宅(ZEH、NearlyZEH、ZEHOriented) | 100万円 |
高い省エネ性能を有する住宅 | 80万円 |
一定の省エネ性能を有する住宅 | 60万円 |
リフォーム

こどもみらい住宅支援事業でリフォームを対象とする場合、新築の場合と異なり対象者の制限はありません。リフォームをする住宅の所有者であれば、幅広く利用できます。
新築同様にこどもみらい住宅支援事業の適用を受ける場合は、こどもみらい住宅事業者と工事請負契約を結び、リフォーム工事をすることが要件です。また、新築の場合における子育て世帯や若者夫婦世帯に該当する場合は、通常のリフォーム補助金より補助上限が引き上げられます。
こどもみらい住宅支援事業リフォームの補助対象となる工事
リフォームの補助対象となる工事は、以下の1~8に該当するリフォーム工事を補助対象とします。しかし、1~3はいずれかを必須とし、4~8は単体で行うと対象外となります。
そのため、4~8のリフォームを補助対象とするには、1~3のリフォーム工事と同時に行う必要があります。また、リフォーム工事費用が5万円未満の場合は対象外となるので、しっかりと仕組みを理解しましょう。
リフォーム補助対象の工事
- 1. 開口部の断熱改修
- 2. 外壁、屋根・天井又は床の断熱改修
- 3. エコ住宅設備の設置
- 4. 子育て対応改修
- 5. 耐震改修
- 6. バリアフリー改修
- 7. 空気清浄機能・換気機能付きエアコンの設置
- 8. リフォーム瑕疵保険への加入
こどもみらい住宅支援事業リフォームの補助額
こどもみらい住宅支援の補助対象となるリフォームを行った場合、原則として1戸あたり30万円を上限として補助金がもらえます。さらに、以下に該当する場合は補助金が引き上げられます。
補助上限の引き上げ対象
- ● 子育て世帯又は若者夫婦世帯が、自ら居住する住宅に行うリフォーム工事である
- ● 工事発注者が、自ら居住するために購入した既存住宅に行うリフォーム工事である
引き上げ対象世帯のリフォーム補助金額
- ● 子育て世帯または若者夫婦世帯で既存住宅購入をした場合:上限60万円
- ● 子育て世帯または若者夫婦世帯で既存住宅購入していない場合:上限45万円
- ● 一般世帯で既存住宅を購入した場合(安心R住宅に限る):上限45万円
- ● 一般世帯で既存住宅を購入していない場合:上限30万円
こどもみらい住宅支援事業の申請時期
こどもみらい住宅支援事業は原油価格・物価高騰による住宅価格上昇への対策として、子育て世帯などによる省エネ住宅購入支援などを継続的に実施していく観点から、申請期限の延長が決定されました。ここからは、最新の申請時期について解説していきます。
申請期限は新築とリフォームいずれも同一

こどもみらい住宅支援事業の補助金に関する申請期限は、新築とリフォームのいずれも同一スケジュールです。そのため、全体的なスケジュールの把握として「契約期限」「交付申請期限」「交付申請の予約期限」「完了報告期限」に分けて紹介していきます。
契約期限

新築請負契約、不動産売買契約、工事請負契約のいずれにおいても、2021年(令和3年)11月26日から遅くとも2023年(令和5年)3月31日までが対象となります。
補助対象となる住宅によって期限が違う
全体的な契約期間は前述の通りですが、新築住宅のうち「一定の省エネ性能を有する住宅」のみ2022年(令和4年)6月30日までを期限としています。ZEH住宅ほかは2023年(令和5年)年3月31日までが契約期限としています。
交付申請期限

交付申請期限は、2022年(令和4年)3月28日から始まり、遅くとも2023年(令和5年)3月31日までとなっています。しかし、締め切り時期は予算の執行状況に応じて国土交通省が随時公表します。
申請可能時期は、新築の場合補助額以上の工事出来高に達した後、リフォームは工事完了後としています。
交付申請の予約期限

交付申請の予約期限も、交付申請開始時期と同じく2022年(令和4年)3月28日からです。現段階では2023年(令和5年)2月28日までを期限としていますが、予約の場合でも締め切り時期は予算の執行状況に応じて変動する場合があります。
交付申請の予約をすると、補助金の予算を一定期間(3ヶ月または令和4年10月31日のいずれか早いほうまで)確保できます。予約期間内に実際の交付申請が行われない場合は、取り消しとなるので注意しましょう。
完了報告期限

新築住宅の完了報告期限は、補助対象である建物に応じた時期が以下のように定められています。なお、共同住宅とはマンションなどをさします。
完了報告期限
- ● 戸建て:2023年(令和5年)10月31日まで
- ● 共同住宅等で階数が10以下:2024年(令和6年)7月15日まで
- ● 階数が10以上の共同住宅など:2025年(令和7年)5月31日まで
他の補助金との併用は可能?
こどもみらい住宅支援事業は、原則として補助対象が重複する国の他の事業と併用できません。しかし、地方公共団体の補助制度のうち国費が充当されていない性質の補助金は併用可能です。
新築で併用可能な補助金
こどもみらい住宅支援事業と併用可能な主な補助金制度は以下の通りです。
- ● すまい給付金
- ● 住まいの復興給付金
- ● 外構部の木質化対策支援事業
リフォームで併用可能な補助金
リフォームでこどもみらい住宅支援事業を活用する場合にも、併用可能な補助金があります。ただし、こどもみらい住宅支援事業で対象とするリフォーム工事の請負工事契約と、他の補助制度で対象とするリフォーム工事の請負工事契約が別である場合には併用できます。
- ● 外構部の木質化対策支援事業
- ● 長期優良住宅化リフォーム推進事業(請負工事契約が別で、工期が別である場合は併用可)
- ● 住宅・建築物安全ストック形成事業
- ● 地域型住宅グリーン化事業(請負工事契約が別で、工期が別である場合は併用可)
- ● ZEH可による住宅における低炭素化促進事業
- ● 高性能建材による住宅の断熱リフォーム支援事業
こどもみらい住宅支援も活用しシミュレーションしてみよう
こどもみらい住宅支援事業の対象となる子育て世帯では、子どもの成長に応じて住宅の新規購入を検討する場合もあります。また、これから家族が増えていくことが想定される若者夫婦世帯も、家族の将来をイメージする場面では住まいのことは切り離せないものです。
今回紹介したこどもみらい住宅支援事業の補助金制度や、ZEHなどの省エネ性能が高い家を購入することで受けられる補助金もあります。有名な助成制度では、住宅ローン控除もあります。
このように、住宅に関する助成制度を上手に取り入れることを想定し、家づくりのイメージを具体的にしてみませんか。ここからは、イメージが具体的になる各種シミュレーションを紹介します。
頭金はどうする?マネーシミュレーションで具体的なイメージを

家づくりで気になるのは、資金面ではないでしょうか。特に、当記事で取り上げている事業の対象となる世帯は、子育て世帯や若者夫婦世帯の人です。これから子どものためにかかる教育費なども考えると「自分でも家は買えるのかな?」と不安になるかもしれません。
このような方には、住宅購入に関するお金全般のシミュレーションをおすすめします。
「やってみよう!マネーシミュレーション」では、いくらなら毎月住宅ローンの返済に充てられるかを、現在住んでいる家賃などから試算することが可能です。
さらに、住宅ローンを借りる場合の頭金の金額も具体的に計算でき、住宅購入にかかる総額を試算できます。シミュレーションページから、住宅ローン減税やすまい給付金などの支援策を紹介するページを続けて確認することもできるため、より具体的なイメージができます。
どのような家がいい?モデルホームシミュレーションも活用
マネーシミュレーションでは、具体的な住宅購入資金について試算ができます。このほかにも、実際にモデルホームを見に行く際の参考になるシミュレーションもあります。
「ライフスタイル別・モデルホームマッチング」では、数あるABCハウジングの展示場の中から、自分好みのモデルホームを探すことが可能です。
また「インテリア診断」では、シミュレーションで表示される2枚の画像のうち好きなほうを選んでいくことで、自分が好きなイメージのモデルホームを紹介してくれます。
これらのシミュレーションを活用し、より具体的な家づくりのイメージを広げてみましょう。条件検索などで、より自分のイメージするモデルホームを体感できます。
こどもみらい住宅支援事業を活用して理想のマイホームを
こどもみらい住宅支援事業は、2022年(令和4年)からスタートした新しい補助金制度です。事業の対象は子育て世帯や若者夫婦世帯で、これから新しく家を購入したり、既存住宅をリフォームしたりする家族世帯をイメージしています。
環境に配慮した脱炭素化も想定しているため、補助金の対象となる住宅は一定の省エネ性能を備えているなど、基準が設けられています。購入したい住宅の性能に応じて受けられる補助金が違うため、事前に確認しておくとよいでしょう。
また、家づくりのヒントとして「やってみよう!マネーシミュレーション」や「ライフスタイル別・モデルホームマッチング」などのシミュレーションをすることで、よりイメージが広がります。気になる方はぜひ試してみましょう。