第8回 組子をモダンに使う No.1

欄間や障子などに用いられる組子細工は日本の各地で見られますが、島根県浜田市近郊の吉原木工所さんでも伝統の美しさを何とか現代の生活に取り入れたいと、様々な試みが続けられています。

JR山陰本線浜田駅から西へ3つ目の折居駅で下車

各停は2輌編成のワンマンカー。左手の小さな無人駅舎を出ると道路1本を隔ててすぐに海です。
砂が透けて見えるきれいな海。波は穏やか、なだらかな海岸線が続きます。
駅から山へ向かう道を車で約15分、吉原木工所さんに到着。工場の裏手には海と棚田を望む美しい景色が広がります。

吉原木工所は建具製作が本業です

今は障子やふすまは和室とセットだと思われていますが、もとは施主が好みの建具を注文していました。
社長の弟である吉原敬司さんは北陸で修行してきた組子の技術を活かし、新しい分野を切り開こうとしています。
東京の展示会には曲面のスクリーンや照明器具など大胆な発想のものを出品しています。(写真はIFFTインテリアライフスタイルリビング2013出品作品)

組子細工は釘などを使わず細い木片を差し込んで組み上げます

切込みを入れた杉やヒノキなどの小片を差し込みながら複雑な模様に仕上げます。
様々な角度の切り込みを模様にしたがって丁寧に入れていきます。
細やかな模様をつくる治具(じぐ)や鉋(かんな)といった手道具はものづくりに欠かせません。

和室のものであった組子を洋室に使う提案「リビング障子」は2013年グッドデザイン賞受賞

現代空間にも取り入れやすいデザイン。
右は欄間に用いられる伝統的な組子のサイズ、左はリビング障子で使うサイズ。模様を粗くすることで価格も抑えられます。
組子は精度が高く枠にもしっかりと差し込まれていて意外に強度があります。
ホームページからの問い合わせでは洋室に使う注文が増えてきました。現場への設置にも出かけていきます。

組子を洋室に使う提案はいかがでしたでしょうか。
次回は施工例を見せていただくことにしましょう。

(C) ABC HOUSING

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