伝統のこころとわざを再発見 第6回 高津川ウッディ・クラフト有限責任事業組合 No.2

前回では商品のラインナップをご紹介しましたが、今回は組合の様々な取り組みを見せてもらうことにしましょう。

平成21年12月に組合は結成されました

組合員の工場は島根県の西部、高津川流域の3地区(益田・津和野・吉賀)に点在しています。
4年連続で水質日本一となっている清流高津川。これはその支流のひとつ匹見川でのアユ漁の風景。
豊かな風土に育まれる質の良い木材を使った木工業は長く栄えてきましたが、近年になり次第に状況は厳しくなってきました。

まず取り組んだのは勉強会

建具を中心とする木工業の技術を活かし現代の生活に合ったものを作っていくためにデザインの勉強を開始、毎月の勉強会は5年目になりました。
島根県には建築、デザインなどを専門課程に持つ大学がないため、京都精華大プロダクトデザインの井上教授による出張授業です。
地元産木材の素晴らしさや価値を再認識し、それを活かせるようメンバーの工場で試作や検討が重ねられ前回ご紹介した商品群が生まれました。

昨年、第1回目の学生デザインコンペを開催しました

若い人達に木材への関心を高めてもらい、同時に若い感性と出会って刺激を受けたいという目的で始めました。写真はグランプリ受賞作品。
たくさんの案が寄せられ、最優秀賞1点のほか、優れた作品に賞が贈られました。
第2回目の今年は10月31日までデザイン案募集中。テーマは「森の恵を活かした地域循環を目指す高津川流域材を使ったモノづくり」

今年の春には学生コンペの表彰式を兼ねた高津川デザインフォーラムが開催されました

会場はJR益田駅近くの島根県芸術文化センター「グラントワ」。外壁を覆う特産の石州瓦が素晴らしい。
世界的に有名なプロダクトデザイナーの喜多俊之氏やグラントワ館長で島根県出身の彫刻家澄川喜一氏等が講演。地域の持つ力とデザインの意味を語りかけます。
学生コンペの入選作が展示され、作者が来場者に説明。地域の人達にデザインに馴染んでもらい理解を深めたいとの狙いです。

デザインの勉強を通じて自分たちが持っているものの本当の価値に気づき、それをまた地域へ広めていく…。ドイツの国際家具見本市に出展計画中という組合の活動は、清流高津川のほとりで今日も続けられています。

取材協力
© ABC HOUSING

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