インテリア訪ねあるき2

Vol.05 伝統的な和風住宅を訪ねて1

私たちの身近に残されている住まいのお手本を求めて、今回から数回にわたり、伝統的な日本の住宅をいくつか訪ねてみたいと思います。
最初に訪ねたのは大正時代に建てられた日本画家、山元春挙(やまもとしゅんきょ)の別荘。琵琶湖を望み、芸術家のセンスあふれる和風住宅です。

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山元春拳旧邸「蘆花浅水荘(ろかせんすいそう)」(滋賀県大津市、国の重要文化財)

シャープなラインの檜皮葺(ひわだぶき)の屋根が深い影を作る門。外界と区切られ、邸内へ誘われる感じが素敵です。

門をくぐって先へ進むと、目の前には2階建ての主屋が見えてきました。竹垣のところが玄関。

敷地内は、主屋と離れのほか、持仏堂や茶室などが点在しています。

離れの座敷は12畳、2畳の洞床(ほらどこ)に平書院。手前に6畳の仏間が続きます。

天井は薩摩杉で濃淡のトーンが特徴。照明器具は当初からそのままのもの。額は「天開画図楼」池大雅 筆。

主屋と離れの真ん中には、白砂に三群れの竹がおしゃれな中庭。主屋の1階では春挙の孫である山元寛昭さんが現在も住んでおられます。

入側(広縁)は船底天井で棟に使われている北山杉は長さ10mの一本物。

離れの座敷から見える庭。
手前に低くうねる小山と低い松の向こうに緑の草地が広がり、右に見える持仏堂がすばらしい点景となって風景を完成させています。

両親と恩師をまつる持仏堂「記恩堂」。
春挙は毎朝お参りしていたそうです。

庭は昔、琵琶湖に直接面して遠くに三上山を望む開放感あふれる眺めでした。
昭和40年に湖岸が埋め立てられ国道161号線が開通、庭と建物の環境を守るため道路に面して木が植えられました。

中ほどに見える石垣と階段のところが琵琶湖の水際でした。

湖面が直接見えた当時の眺めが絵葉書になっています。

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