ABCハウジング
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住まいづくりセミナー
第10回 世界基準となれる長期優良住宅とは

麻生政権下に施行された「長期優良住宅の普及の促進に関する法律(以下、長期優良住宅法と記す)」。政権は自由民主党から民主党に変わりましたが、「長期優良住宅法」は与野党全会一致の可決で、民主党のマニフェストにも「環境に優しく、質の高い住宅の普及を促進する環境分野などの技術革新で世界をリードする」とあるように、今後も重要な政策として推進してゆきそうです。
 では、この「長期優良住宅法」とはどのような施策なのでしょうか。住宅の寿命が30年ぐらいといわれるスクラップアンドビルドの考え方によって、近年の日本には質の良い住宅が少なく、建物の資産価値も数年で失われています。我々は自分たちの代だけが使う住宅に対して高額な住宅ローンを抱え生活費を圧迫しており、そのために生活自体の満足度が低いという問題も生じています。また建築に際しては、建材の消費や廃材の処理が地球全体の環境負荷のなかで大きな比重を占めています。そこで、長くストック出来る質の良い建物で住宅の市場価値を高め、数世代にわたって、あるいは転売して使えるようにしようと考えられたのが「長期優良住宅法」です。家計にも優しく環境にも優しい住宅政策というわけです。
 その認定基準として、
1.
数世代にわたって使用できる劣化対策
2.
建築基準法のレベルを上回る耐震性
3.
構造に影響を与えずに配管を改修できるなど維持管理・更新の容易性
4.
居住者のライフスタイルの変化に応じて間取りを変更できる可変性
5.
バリアフリー性
6.
省エネルギー性
7.
景観に配慮した居住環境
8.
一戸建ての場合75平方メートル以上、共同住宅の場合55平方メートル以上(2人世帯の場合)の住戸面積
9.
定期的な維持保全計画の策定
などが定められました。
 しかしこの認定基準を満たすことだけが「本来の長期にわたって優れた住宅」ではなく、その土地に根ざした住宅であれば「長きにわたって生きていく住宅」であると言っていいでしょう。たとえば、堅い良好な地盤と軟弱な地盤に家を建てた場合を比べてみましょう。耐震性を、建築基準法の構造基準の1.25倍で設計すれば「長期優良住宅法」の必要等級“基準2”を取得することはできますが、実際には、軟弱な地盤にたつ建物の方が危険性は高いはず。建物だけをしっかりさせ基準値として「長期優良住宅法」の認定を考えるのではなく、あくまでも生活の質、土地に根ざした建物の質を上げて良質な住宅をストックしていきたいものです。そのとき、この「長期優良住宅法」は世界基準になり得るのです。
●筆者プロフィール

岸田貴仁(きしだ たかひと)
一級建築士、福祉住環境コーディネーター

日本の大学院にて修士学を取得後、ニューヨークのコロンビア大学大学院にて修士学を取得。世界中を旅するなか、日本の建築技術の高さを再確認し、建築士免許取得後神戸で独立。
現在、岸田貴仁建築設計事務所として活動。
住宅から店舗まで、機能性とデザイン性が融合した心地よい空間で、深層心理に訴えかける建築を設計しています。専門学校や資格学校での講師のほか、プロダクトデザインなど活動は多岐にわたる。