暮らしのデザイン Vol.1 「古い道具と暮らす」

序章「アンティークへの入り口を求めて」

少し前までは「お金に余裕のある人たちの趣味」という印象だった『アンティーク』。
最近では、比較的手の届きやすい価格のものもあらわれ、以前に比べると身近なものとなりました。

欧米で『アンティーク』と言うと「100年以上前に作られた手工芸品・工芸品・美術品」と定義されています。しかし日本ではその定義がゆるく、『プロカント』や『ヴィンテージ』、『ユーズド』などの言葉も混在し、少々あいまい。いずれにしても「古いもので、何らかの価値が感じられるもの」ということでしょうか。

『アンティーク』や『ヴィンテージ』は、人気カフェのインテリアに使われたり、雑誌で取り上げられるようになったり、おしゃれな空間演出の素材として広く認識されるようになりました。その影響で、多くの人々がそれらに憧れるようになり、たくさんのアンティークショップができましたが、それと同時に現れたのが、フェイクやリプロダクションの商品。アンティーク風の○○や、ヴィンテージを再現した○○という新しく製造されたモノたちです。ではなぜ本物の『アンティーク』ではいけないのでしょうか。その理由は大きく2つ。

1つは、「高価なので本物には手が出せない」から。そしてもう一つは、「古い風合いは好きだけれど、傷や汚れが目立ち、使い勝手が悪い」から。いずれも納得できる理由ですが、それこそが『アンティーク』や『ヴィンテージ』だとも言えます。一点物で希少価値が高いということ。さらに、それらは長い間さまざまな人々に使われ、傷つき汚れ、使い勝手だって決して良いとは言えないかもしれないということ。中には壊れやすいものだってあります。それでも本物の『アンティーク』や『ヴィンテージ』にこだわり、付き合い続けている人たちがたくさんいるのはなぜか・・・。彼らが何に魅了され、どのように付き合っているのかを探ろうと、今回は2つのお店におうかがいし、お話を聞きました。

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