カリスマ節約主婦
矢野きくのWEB講座「家事が楽しくなる家を考えよう!」

答える人 家事アドバイザー・節約アドバイザー 矢野きくの
キャリアカウンセラー、家電PCメーカーでのテクニカルサポートを経験。その時の自身の経験をもとに「時間とお金を効率的に使うスマートライフ」を提唱。知識としてではなく自身が実践している暮らしが主婦の絶大な支持を得て、メディアの取材があいつぎ、現在は、節約アドバイザー、家事アドバイザーとして独立。時間とお金を節約するワザ、家事の効率化、食費節約、リメイクレシピ、エコ家事、携帯でのデジタル家事などをメディアで紹介。TV出演、TVクイズ番組の問題作成、節約コラム、節約レシピの連載を手がける。
●チーム・マイナス6% エコドライブ普及連絡会 名称決定審査委員
●All About 節約・家電ガイド
●著書 「私らしくシンプル家事〜時間とお金を呼び込む節約大ワザ小ワザ」(毎日新聞社)
       「矢野きくの流 食材使いきり節約レシピ300」(宝島社) 他
●出演メディア/紹介歴
   ・TBS「はなまるマーケット」 ・テレビ朝日「ワイドスクランブル」
   ・NHK「ゆうどきネットワーク」 ・フジテレビ「とくダネ!」 ・日本テレビ「おもいッきりDON」 他多数
●オフィシャルブログ
   ・節約&シンプル家事 矢野きくの’s Smart Liife  http://ameblo.jp/yano-kikuno/
   ・OL主婦の簡単家庭料理レシピ  http://ryouri.ti-da.net/
質問する人 大阪府在住 Yさん
お料理自慢だけれど、整理・収納はちょっと苦手。看護士としての仕事も持つ主婦歴10年のしっかり者。今回は念願のマイホーム実現に向けて、カリスマ節約主婦の矢野先生に、家事作業を少しでも軽減して、家事そのものが楽しくなるような住まいづくりの秘策を授かろうとWEB講座にやって来られました。
私、料理は結構得意なんですけど、限られた時間でしか用事ができないから、料理をしていると他の家事ができなかったり、おろそかになって、結局中途半端になってしまうんです。

仕事を持っている主婦の方に限らず、専業主婦の方でもすべての家事を充分にこなそうと思ったら、絶対に時間が足りなくなります。私がおすすめしているのは、まず自分の家事スタイルを見直すことです。これはぼんやりとイメージをするというようなことではなくて、ノートなどにきちんと書き出すところまでやって、そのひとつひとつに対策、解決方法を考えていくのです。

自分の好きな家事、苦手な家事を分けて書き出す
○苦手な家事の苦手部分を削除できる手段はないかを考える
○苦手な家事をやりやすいよう、時間がかからないような環境を考える
時間がかかる家事、時間がかからない家事を書き出す
○時間がかかっている家事は短時間でできる方法を考える
○時間がかからない家事は「5分家事」として隙間時間にこなす習慣をつける
いつでもできる家事、できる日や時間が限られる家事を書き出す
※時間が限定される家事例…大音量で夜に使いにくい掃除機がけ、日が決められたゴミ出し、天気次第の洗濯や布団干しなど
○時間が限られる家事を時間フリーにできる方法を考える
○右のような対策をしても残った家事にはタイミングを逃さないよう優先度をあげておくなるほど!
家事スタイルを書き出す重要性はわかりました。具体的な対策、解決方法について教えていただけますか?

たとえば時間が限られてしまう家事の例としてあげましたが、家事の中で案外主婦のみなさんが頭を抱えているのって、洗濯ではないかと思うんですね。雨が降ったら洗濯物が干せないとか、真夜中にはできないとか、時間的タイミング的な制約を非常に受けてしまう。洗濯自体は入れれば機械がやってくれると簡単に思われがちなんですけれど、家族が多ければもちろん量も増えるし、洗濯が上がったものをそれぞれ畳んでそれぞれの部屋に持って行かないといけない。そこで対策として家族分担の仕組みを作ります。それは家族それぞれに専用のカゴか洗濯ネットを用意することです。洗濯物を出す時点で、自分専用のネットにそれぞれ入れてもらうようにします。そうすれば洗濯物の仕訳がひと手間減りますよね。乾いたものもそれぞれに片付けてもらうようにしたら家事の負担はぐんと軽減されるはずです。それと洗濯機の設置場所も浴室か物干の近くに設定しましょう。これで洗濯物を持って移動する手間がひとつは省かれます。

浴室の話が出たので聞きたいんですが、私、どうしても掃除にまで充分に手が回らなくて、浴室の掃除は主人まかせになってるんですが、そういうのも「家族分担」しか方法がないんでしょうか?

これから住まいづくりを考えられるからこそ、あらかじめお風呂掃除をラクにするような設備やプランニングを考えておくといいでしょうね。まず、浴槽だけなら自動洗浄できる機能がついたものもあります。あと、設計上可能なら浴室にはぜひ開放できる窓を設けることをおすすめします。お風呂場の掃除の大敵はカビでしかないので、使ったあとに窓を開けるように習慣づけていれば、それだけでもう家事が半減すると言ってもいいくらいです。それが無理なら壁には細かい溝のない素材、防カビ効果のある素材を選ぶようにしたいですね。

たとえばキッチンレイアウトやリビングダイニングの間取りのことを相談するときに、家事動線って考えておかないといけないと思うんですが、具体的にはどんなことに気をつけたらいいんでしょう。

まず間違えないで欲しいのは、カタログやモデルを見てすぐに「これ」と決めてしまわないことです。人にいいものが自分にとってもいいものとは限らないということです。最初にあげたように自分の家事スタイルを見直した上で、自分が家の中を動くときに、どれだけ無駄のない効率的な動き方ができるかを考えましょう。キッチンも一般的にはそんなに歩かないで作業ができ、食器が取れるのが便利と言われていますが、毎回家族がみんなで料理をするような家庭だったら、それではうまく動けないかも知れない。やはりその家庭においてベストな状態は違うし、それが身についているのは主婦のあなただということを忘れないで欲しいです。あなたは食材の買い物を週に何回しますか?買うのはどんなものが多いですか?買い置きはどんなものをどれくらいストックしていますか?それによってキッチンと冷蔵庫、ユーティリティスペース、食品庫としてのパントリーや家事室、勝手口やサービスヤードなどとの位置関係が変わってきます。

私は陽当たりのいいリビングにダイニングとキッチンをくっつけたいので、2階にそれらを設けたいと思うんですが、それは家事動線としては良くないんでしょうか?

キッチンやダイニング、リビングというパブリックスペースを家事動線のために1階に持って来ないといけないと考えるのは本末転倒で、やはり自分たちがどのように暮らしたいかを考えたプランを考えるべきだと思いますよ。陽当たりのいいリビングの方が家族がおおらかになり、子供たちも元気で明るく育つという例も見受けられるので、それなら2階中心で家事が完結できる家事効率、動線を考えればいいのです。買い物から帰って一度は階段を上がらないといけなくても、その後に何度も上がり下りをしないでいいようにすることです。ゴミ出しにしてもそうです。1回の作業でゴミを出せるようにしておけば、不便は感じないはずです。それに最近ならディスポーザーのようにゴミの処理を担ってくれる機器もあります。必要に応じて家事を機器に頼ることも大事でしょう。キッチンだけではありません。先ほどあげた洗濯に関しての家事動線も、洗濯機の場所と物干とが、家の中で廊下一本でつながっている、行きやすい状態になっていればいいと思いますね。

リビングならまだしも、家の中でいちばん陽当たりのいい場所にキッチンを設けるのって、なかなか主人には理解してもらえないというか、説得するのが難しそうな気がしますけど…。

確かに昼間仕事に出られている旦那様には昼間の家のこと、キッチンの陽当たりのことなど、効果効能を説得するのは難しいかも知れません。暗いところで家事をしている奥様の姿はなかなか想像できないでしょうね。ではどうでしょう? いまのうちから少しずつでもご主人にはキッチンの仕事を手伝ってもらうようにしては。それも休日の昼間だけで充分です。明るい時間帯にキッチンにいてもらって、現状を肌で覚えておいてもらうのです。そして、機が熟したら住宅展示場へ出かけましょう。休日の昼間、今度は陽当たりも良く快適なモデルホームのキッチンを見てもらうのです。百聞は一見に如かずです。そうして明るい場所で家事をこなすことが誰のためでもない、家族みんなのために良い効果があるということをわかってもらいましょう。

なるほど、住宅展示場のモデルホームって、そんな使い方があったんですね。わかりました。今日のお話はとても参考になりました。どうもありがとうございました。

家事をおこなうのは主婦が中心です。そして家事は家の中でおこなう唯一の仕事。その家事を担う主婦だから、家の使いやすさについて、いちばんにこだわりを持って、いちばんに要望を持っていて当然です。主婦の満足感はめぐりめぐって結局は家族のためになるのです。主婦の笑顔が家族を幸せにします。だから快適な家をつくって、できるだけ家事を楽しくして欲しいのです。あなたの家事スタイルが新しい家でより快適になるように願っています。
こちらこそ、今日はどうもありがとうございました。