僕がテレビの番組なんかで片付けられない、整理できないっていう悩みを持っている人に言うのは、まさにそういうことなんですよ。いろいろなテクニックの前に、まずその考え方を変えるっていうことを懇々と説くわけです。そういう方の自宅の押し入れとかクローゼットの中を見ると、それこそ洗剤のストックであふれかえってたりするんですよ。

「なんでこんなことになってるんですか？」って聞くと「なくなったら不安なんです」って。じゃあ「コンビニとかは遠いんですか？」って尋ねると、「いや、目の前にあります」って言うわけです。ほかにも理由はあって、たとえば安いときに買ったりしてると。でも収納ができてないから、どこに置いたかわからなくなって、それでまたセールで買ってしまうと、これの繰り返しなんですね。収納ができないひとほど買い溜めをするって言えるかも知れません。それが、収納がちゃんとできるようになれば、洗剤は何個買い置きがあるっていうことが把握できて、ムダ遣いも減る。生活の中のムダを省いていくっていうことが、考え方の基本にあるわけですよ。

整理収納で3つの効果が得られると言われていて、1つは「時間的効果」。物の整理は時間の整理と言って、先のケースのようにモノを整理することで時間的な節約の効果も得られます。2つめは「経済的効果」。ムダな買い物を減らす効果についても前で言いましたね。またムダをなくして家の中のスペースを有効に使うことも経済的な効果と言えるでしょう。そして3つめが整理収納することによって、ストレスが減り、快適な暮らしができるっていう「精神的効果」。

大げさなようなんですけれども、整理収納によって夫婦仲が良くなるとか、そういったこともあるんですよ。

企業なんかでも整理収納アドバイザーが入ってきちっと資料なんかを整理したら、翌月の売上が倍増したということが本当にあって、それだけ何かの資料を探すのに時間や労力をかけてしまっていたということがわかる。時間のロスは社員のストレスにもなるだろうし、みんながイライラすることで会社の雰囲気も悪くなっていた。ところが整理が行き届くと仕事もはかどる。会社の雰囲気も良くなる。整理収納がそういうふうにさまざまなことに関わってくるのがわかりますね。そういった意味で、収納っていうのは、快適に生活するためのすべてのことにつながっていると思います。