第12回 大阪市内で建具を作り続ける種村建具木工所 No.1

大阪市の南東部に位置する平野区に残る古い街並み「喜連環濠(きれかんごう)地区」は、かつては中世から続く濠(ほり)に囲まれた環濠集落だったそうです。そのすぐ近くで建具木工所を営む種村さんを訪ね、新しい試みなどのお話を伺いました。

地下鉄の最寄駅は読み方が難しいことで有名な喜連瓜破(きれうりわり)駅

環濠集落の出入り口にあたる住宅はかつての面影を残しているとか。
この狭い通りは環濠の中の「旧屋敷小路」。立派な門構えに漆喰と杉板張りの壁が両側に続きます。
昔、濠だった道路を挟んで左側が環濠の内側、右側手前のグレー色の建物が種村建具木工所さん。

建具需要の減少に立ち向かう新しい試み

建具の技術を活かして洋室でも楽しめる「彩り障子」を開発。
ホームページが注目され問合わせが急増。
デザイナーとのコラボ製品。組子細工を取入れたモダンな鉢カバー。
imadocoシリーズのokidocoは家具製作も得意な強みが活かされています。

優れた機能を持つ建具 大阪格子戸

伝統的な住まいでは冬と夏で建具を入れ替えていたのをご存知でしょうか?
私が育った家でも冬は襖、夏はよし戸と建具を入れ替えていた記憶がありますが、大阪格子戸は建具自体を入れ替えなくても風通しを調節できる優れた建具です。

大阪ガスの実験住宅「NEXT21」では伝統を引き継ぐテーマの住戸に大阪格子戸を設置。種村建具木工所で製作されました。
表面は縦格子、裏面は数段に分かれた障子の両面仕立てが特徴で、技術の高さが求められます。
季節の移ろいに合わせて一段ずつ障子を外していくと、風通しのよい夏の建具に変身。
着脱方式は「けんどん」。縦桟(たてざん)を持って少し上へあげ、下部を手前に傾けるとスッと外れます。

大阪出身ながら今回初めて知った大阪格子戸は、建具の収納スペースも考えた大阪人の知恵の産物かもしれないと感心しました。
次回は工場の様子やいろいろな施工例を見せていただくことにしましょう。

(C) ABC HOUSING

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