ご来場プレゼントの製作現場を訪ねて

日本有数の陶器の街へ

今回訪問した協業組合土岐高根製陶様は岐阜県多治見市にある陶磁器製造メーカー。大阪からは新幹線で名古屋へ。名古屋からJR中央線に乗り換えておよそ40分ほどで多治見市に到着。ここは美濃焼ブランドで日本最大の陶磁器生産拠点となっています。

一帯には比較的大きな工場が集まっており、さらに複数の工場が組合を通して合同で生産する(協業組合)体制が整っているため、限られた納期でも大量生産が可能ということ。こうしたインフラ整備により、多くの販促品の需要に応えられている現実があります。

製造の現場では

まず陶器製品の製作工程は、大きく分けて下図のような流れになりますが、土岐高根製陶様ではおもに2~8までの工程が行われています。小ロットではなく、数千単位の大量生産に適した製造ラインです。

成形

成形工程の前に、原料の土を調合士が水と混ぜ、棒状の粘土材にします。

棒材は適量に切り分けられ、型に押しあてて成形されます。
成形はすべて機械化され、一瞬でお椀のカタチが完成。
一台の成形機でおよそ3,000枚が仕上げられます。

一次成形されたものは、コンベアー移動中にひっくり返され、ふちをきれいに落とします。そして乾燥工程へ。

工程中の写真は、まさにABCハウジングの5月ご来場プレゼント賞品。

大量生産に対応するため
成形型も大量に用意。

乾燥~素焼き

成形製品は整然と並べられ、約1~2日自然乾燥。そののち、ラインに乗せて低温で素焼きをおこないます。素焼きすることで、製品はある程度の強度を持ちます。

絵つけ

絵つけにもいくつかの方法があるようですが、今回の賞品では色数が多くないので、シリコン版での転写プリントでした。シリコンに色をつけて器に押し付けることで柄を転写。ほぼ自動化はされていますが、機械1台ごとに作業員が1人付き、人の目によるチェックも同時におこなっていました。
底面のブランドロゴもひとつひとつ転写されていました。

※写真の色つけ工程は、プレゼント賞品とは異なります。

釉薬塗布

陶磁器の表面を覆う釉。ガラスコーティングのようなものです。食品の水分が染み込まないよう、器を丈夫にする働きがあります。薬剤の配合で器全体の色合いをつけることもできます。

本焼き

製品は温度の違う炉の中を、長いコンベヤーに乗せられ数日にわたって潜り抜けます。内部の温度は炉に開いた覗き穴から火の色で確認します。最高温度1,200度。直前に掛けた釉薬が熱で溶けてガラスとなり、磁器は丈夫な器になります。

本焼きのオーブンはGW・正月を除いて24時間火を止めることなく動かし続けるとのことでした。

最終研磨・チェック

縁部分を滑らかにし、ラインの最終段階では人が目視で最終チェックし、検品をおこなった上で出荷用のケースに詰めていました。

自動化と手作業の絶妙なマッチング

今回のABCハウジングの賞品であれば、製造工程はおよそ20日間とのこと。中国生産の陶磁器製品の場合、すべての作業を1つの工場でおこなうのが一般的ですが、日本の陶磁器製造は分業が基本。土づくり・型づくり・成形~本焼き・梱包、それぞれを別会社がおこなっています。すなわちそれぞれの作業工程に特化して専門性を高めている分、日本製品は精度が高いと言えるのかも知れません。自動化が進んで大量生産が可能となった今でも、要所要所では人の目や手に触れる部分を残していることは大切です。最終的には人が介することで製品の品質、信頼性は高まるのだということを実感した取材でした。

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